ハンバーグ(美味しいハンバーグの5か条)

まず、美味しいハンバーグの5か条は以下のとおりです。

1.卵を使わない

2.パン粉を牛乳にひたさない

3.粘りが出るまで混ぜない

4.表面を凹ませない

5.玉ねぎを炒めない

この5か条を取り入れると

とても美味しいハンバーグが作れます。

ここでいう「美味しい」というのは、

柔らかくて肉汁をたくさん含んでいるという意味です。

なぜこの5か条なのかもう少し詳しく解説していきます。


まず1つ目は、ハンバーグでは卵を使わないということです。

使ってもいいのですが、

使わない方が肉の味をよりしっかりと感じられます。

なぜハンバーグのレシピに卵が入っているかというと、

昔のひき肉は鮮度が悪かったため、

ひき肉だけだと粘りがなかったからです。

その足りない粘りを補填するために、

火を通すとくっつく性質のある卵を使ったのです。

今スーパーなどで手に入るひき肉は鮮度が良いので、

少し混ぜるだけで十分に粘りが出るので卵は不要です。

卵を入れると肉の味が味わえなくなってしまうので

入れない方が美味しくなります。


2つ目は、パン粉を牛乳に浸さないということです。

パン粉を牛乳に浸すのは

そのパン粉が乾燥していて水分が少ないからですが、

出来上がったハンバーグのタネに水分量が多すぎると、

ひび割れの原因になります。

言い換えると、ハンバーグがひび割れる理由は、

水分が多すぎてその水分が出てしまうからです。

パン粉を牛乳に浸さないことによって、

パン粉が肉汁を吸ってひび割れを防止してくれます。

なので牛乳に浸す必要はありません。


続いて3つ目ですが、

粘りがでるまで混ぜてはいけないということです。

混ぜる時間はストップウォッチで測って1分以内にして下さい。

よく「粘りが出るまで混ぜる」と言われますが、

粘りが出すぎると危険です。

以前も小誌でお伝えしましたが、

タンパク質は、まるで雑巾のような形で水を含むことができます。

雑巾は絞ると水が抜けて水が出てきますね。

タンパク質も同じで、加熱することによって

肉の繊維がどんどん歪んでいきます。

これはまるで雑巾を絞っているのと同じような状態です。

それによってどんどん肉汁が出てしまい

ガチガチになってしまうのです。

加熱しすぎたベーコンがまるでサンダルの底のように

ガチガチになることがありますが、

あれは絞りきった雑巾のように水分が全然残っていないので、

ガチガチになってしまうのです。

1分以上肉を混ぜてしまうと、

粘りが出すぎて肉汁を閉じ込める網目構造が

縮みやすくなってしまいます。

そうするとハンバーグが固くなり

必要以上に肉汁が抜けてしまいます。

また、混ぜるときにもポイントがあります。

ハンバーグのタネが入っているボウルの他に、

それより一回り大きなボールを用意します。

そして大きなボールの中に氷水を入れ、

そこにハンバーグのタネが入ったボウルの底をつけながら

混ぜるのです。

「ハンバーグのタネを混ぜる時にはよく手を冷やしましょう」

と言う人もいますが、それよりもボウル全体を氷水で冷やした方が、

はるかかに良いはずです。

水は非常に熱伝導率が良いため、効率よく冷やせるからです。

また手に比べてボール全体の方が表面積が大きいので

効率よく冷やせます。

なぜボール全体を氷水で冷やすと良いのか、

言いかえると温めてはいけないのか。

これは冷やしておくことによって

粘り気や粘着力が出るためです。


続いて4つ目は、

成形する際に表面をへこませないということです。

たいていハンバーグは成形した後に表面を少し凹ませますね。

表面が膨らむので凹ませることによって

平らになるからだと言われています。

しかし、それがそもそも間違いです。

実際は真ん中が膨らんでいるのではなくて、

端っこが縮んでしまっているのです。

そしてなぜ縮むかというと混ぜ過ぎてしまっているからです。

人間の手で混ぜると強く力が入るので、

1分も混ぜれば十分に混ざります。

それにも関わらず、2分、3分、4分と混ぜることによって、

どんどん繊維が歪んでしまい、

前述したようにたくさんの水分が出てしまいます。

ハンバーグの端っこが縮んだり真ん中が膨らんだりしている時点で

失敗なのです。

ですから成形して真っ平らの状態で焼いて大丈夫です。

その状態で外側が縮んでしまうなら、

もっと混ぜる時間を減らした方が良いのです。


最後に玉ねぎを炒めないということです。

玉ねぎを炒めるのはタネが割れるのを防ぐためと、

玉ねぎの甘みを出すためというのが主な理由でしょう。

炒めることによってなぜ割れるのを防ぐのかというと、

玉ねぎが必要以上に水分を含んでいるからです。

ですから従来のレシピだと玉ねぎを炒めることによって

玉ねぎから水分を飛ばすのです。

しかし、私のレシピでは、

そもそも牛乳を入れないので、水分はその分少ない。

玉ねぎを炒めなくても

牛乳で水分を増やしてないので変わりません。

玉ねぎから甘みが出るという点は、

タネを焼けば火が通るので、十分玉ねぎの甘みは出ます。

それに、わざわざ玉ねぎを炒めて使うのはめんどうです。

まず炒める手間がかかり、

さらに炒めたものを冷やす工程が入ります。

炒めた玉ねぎをそのまま入れると、

肉の温度が上がってしまうからです。

そう考えると、冷蔵庫の中から出した玉ねぎを切って

そのまま混ぜたほうがよほど楽なはずです。

しかも牛乳が入らないので水分も相殺されますし、

焼く過程で火が通れば十分に甘みも出ます。

この方法で作れば、かなり楽にできるはずです。

ちなみに、肉は合挽きでも、牛肉100%でも、豚肉100%でも、

どれでもいいでしょう。

これは自分の好みで選んでいただければ良いと思います。

昔のレシピでは牛と豚の合挽きが多いのですが、

それは豚肉の方が安いので

牛肉のかさ増しとして使っていたという背景があります。

そうでなければ、あまりこだわる必要はないでしょう。

しいて言うと豚肉の方が脂の融点が低いので

冷めても美味しいといったところでしょうか。

個人的には牛肉の香りの方が好きなので、

豚肉を使わない牛肉だけのハンバーグが好きです。

細かいレシピはクックパッドなどに色々と載っているので、

それを見ながら、この5か条を守って作ってみてください。


From: 相馬一進 <info@essential.co.jp> esntl.jp 経由

日付: 2022/09/19 20:20

件名: 【相馬一進】美味しいハンバーグの5か条