ストレスとは、外から刺激を受けたときの緊張状態のことをいいます。

ストレスというと、人間関係のいざこざや仕事のストレスといった心理的なことを思い浮かべる人が多いかもしれませんが、そうした心理的なものだけがストレスになるわけではありません。私たちの心身に影響を及ぼすストレスには、以下のようなものがあるといわれています。

・心理的・社会的ストレス:人間関係や仕事上の問題、家庭の問題など

・物理的ストレス:暑さや寒さ、気候、騒音や混雑など

・化学的ストレス:薬物、空気中の有害物質など

このようにストレスには様々な種類があることが分かっています。現代人はこうした多様なストレスに囲まれていることから、交感神経が優位になりやすく、それによって自律神経が乱れやすいといわれています。

ストレスと段階[1]

ストレスには「ストレッサー」「ストレス反応」「ストレス耐性」が段階的に含まれます。

ストレスについて詳しくみていきましょう。

ストレッサー(ストレス要因)

ストレッサーとは、ストレス反応を誘発させた原因となるもののことです。

ストレスを感じる状況、心理などさまざまな種類のものがストレッサーとなります。

ストレッサーには強弱があります。

強い種類のストレッサーになればなるほど、大きなストレス反応を引き起こします。

ストレス反応

ストレッサーによる刺激を受けた場合に起こる生体反応のことをストレス反応といいます。

ストレッサーに対する反応は、個人差があります。

同じ種類のストレッサーであっても、すべての人が同じ反応を示すわけではありません。

ストレス耐性

どれだけストレスに耐えられる力があるのかを示すものがストレス耐性です。

ストレスの種類や受け止められる容量、処理する能力、経験などによって違ってきます。

ストレッサーの種類[1]

物理的ストレッサー

物理的ストレッサーの種類の中で代表的なものは、温度、光、音などです。

暑すぎる、寒すぎる、光がまぶしい、うるさいなどの環境がストレスとなります。

騒音もストレッサーとして大きな問題となっています。

アパートの隣人同士のトラブルなど、騒音がストレッサーになることはよくあります。

化学的ストレッサー

化学的ストレッサーは、公害物質、薬物などが大きなストレッサーとなります。

化学的ストレッサーというと大げさに感じてしまいますが、実は非常に身近なものです。

たとえばタバコです。

最近では分煙化が進んでいます。

しかし、喫煙者から漂うタバコの臭いにストレスを感じる人も多いのです。

香水もストレッサーの種類になるケースがあります。

とくに狭い空間でのキツイ香水は強いストレッサーになります。

社会的ストレッサー

経済問題、政治問題、職場関係などが要因となるのが社会的ストレッサーです。

最も社会的ストレッサーが強くあわわれるのが職場です。

業務上の評価、ノルマ、昇進、解雇、転職など、多くの種類のストレッサーが存在します。

心理的ストレッサー

心理的ストレッサーとは、不安、緊張、あせり、いらだちなどの感情を伴います。

心理的ストレッサーは、ほかの種類のストレッサーと緊密に関係しています。

たとえば、社会的ストレッサーの職場での人間関係は、心理的に深く関わっています。

身体的ストレッサー

身体的ストレッサーとは、自分の体が傷つけられるのではないかと恐れることです。

人間は、自分の命を守るという本能があります。

その意味では、命をつなぐためにストレスを必要としているのかもしれません。

身体的ストレッサーの種類は、暴力のような顕著なものだけではありません。

長時間労働なども身体的ストレッサーの種類のひとつです。

さらに、会社の飲み会や接待で無理にお酒を飲まなければならないというのも含まれます。


ストレス反応の種類[1]

身体的反応

身体的なストレス反応は、以下のように全体的にあらわれます。

動悸 発熱 頭痛 腹痛
食欲不振 取れない疲労感 嘔吐 下痢
めまい しびれ 睡眠障害

心理的反応

心理的なストレス反応は、感情や情緒が以下のように不安定となってあらわれます。

不安 イライラ 落ち込み 緊張
怒り 孤独感 疎外感 無気力
集中力の低下 思考力の低下 判断・決断力の低下

行動的反応

行動的なストレス反応は、過激な行動や攻撃的な行動として以下のようにあらわれます。

怒りの爆発 けんか 訳もないのに泣く 引きこもる
可食や拒食 チック 吃音 幼児返り

良いストレスと悪いストレス[1]

良いストレス

良いストレスとは、心身に良い緊張感をもたらす種類のストレスです。

たとえば、何かの目標を立てるとします。

新しいことに挑戦をするということは、必ずストレスを伴います。

目標を達成しようとする意欲やモチベーションは、やりがいというエネルギーになります。

たとえそれが失敗しても次へのステップになり、自己成長していく手段となります。

悪いストレス

悪いストレスとは、自分を追い込んでしまう種類のストレスです。

辛い状況の中で「やり遂げなくてはならない」と強制的に自分を追い込むものです。

そして、自分の意志とは反して過剰行動した結果生じるストレスです。

このような種類のストレスにさらされていると、心も体も悲鳴を上げます。

そして、さまざまな症状や病気としてあらわれていきます。

ストレスへの対処法[1]

ストレスを把握する

普段からストレスを把握し、何らかのストレスサインを見落とさないことが大切です。

ストレスを過度に受けている場合には、不眠、腹痛、頭痛、疲労などの異常が見られます。

これらのサインは、病気の手前の未病といわれるものです。

ストレスサインを放置し、そのままストレスを受け続けると今度は本当の病気になります。

まずは、自分のストレスサインを知っておくこと、そしてストレスを把握することです。

時々、日々の生活を振り返りながらストレスサインがないか自身を観察してみましょう。

自分のストレスを把握できれば、ストレスの発散、休息など早めにセルフケアができます。

参照:厚生労働省【ストレスって何?]・文部科学省【心のケア 各論】

ストレスコーピング(対処)

ストレスコーピングとは、ストレスに対処する行動のことです。

ストレスの種類によって、おもに以下のような3種類のストレスコーピングに分かれます。

  • 問題焦点型コーピング
  • 情動焦点型コーピング
  • ストレス解消型コーピング

それぞれ詳しくみていきましょう。

問題焦点型コーピング

ストレスの元となっているストレッサーに対して働きかける対処法です。

原因自体を変化させて、ストレスを解消しようとする方法です。

たとえば、ストレッサーを遠ざけたり排除したりすることです。

ただ、ストレスそのものに対して働きかけるため、場合によっては難しいこともあります。

とくにストレッサーが人間関係である場合、その人を排除するのは難しいでしょう。

情動焦点型コーピング

ストレスの元となっているストレッサーに対して、考え方や感じ方を変える方法です。

ストレスの感じ方は人それぞれで、ストレスを受けにくい人は、思考がポジティブです。

物事がうまくいかないときには、ネガティブな心境になることも多いでしょう。

しかし、ストレスがたまったときこそ客観的な視点に立って考え直すことが必要です。

ストレス解消型コーピング

ストレスを感じたあとに、ストレスを体の外に放出する、いわゆるストレス解消方法です。

買い物をする、運動をする、カラオケに行くなどもその一つです。

その人それぞれのストレス解消法を身につけておくことが大切です。

参照:厚生労働省【ストレスコーピング】

参考資料

  1. 自律神経を整える、食べ物&ハーブのチカラ│ウェルネスコラム│オリナス(orinasu)│大正製薬  https://brand.taisho.co.jp/orinasu/wellness/jiritsu002.html
  2. ストレスの種類について。ストレスへの対処法も詳しく解説 | 健達ねっと  https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/20195
  3. ストレスコーピング | e-ヘルスネット(厚生労働省)  https://www.e-healthnet.mhlw.go.jp/information/dictionary/exercise/ys-068.html

脚注

  1. 1.0 1.1 1.2 1.3 1.4 ストレスの種類について。ストレスへの対処法も詳しく解説 | 健達ねっと  https://www.mcsg.co.jp/kentatsu/health-care/20195