ラ・フランスはフランスのクロード・ブランシェ(Claude Blanchet)氏が1864年に発見したとされる西洋梨で、日本には1903年(明治36年)に農商務省農事試験場園芸試験地(静岡県)へ、食用としてではなく、当時主流だったバートレットなどの受粉用として導入されました。
保管と追熟[1]
洋ナシの追熟とは
収穫されたばかりの洋梨には僅かにデンプンが含まれています。このデンプンの状態で食べると硬くゴリゴリした食感で、甘みもあまり感じられずまずい梨でしかありません。ところが、収穫後しばらく寝かせておくことでこのデンプンが果糖やしょ糖、ブドウ糖などの糖分に分解され、更にビタミンBやCも多くなります。また不溶性のペクチンが熟すに従って、水に溶けてとろみのもとになる水溶性のペクチンに変化するため、あのとろっとしたなめらかな肉質に変化していきます。こうした一連の変化を追熟と言います。この追熟をさせてやらないと洋梨は美味しい果物にはなりません。
追熟は温度管理が大切
洋ナシは青いうちにとって追熟させるわけですが、最適期に収穫しないと、肉質が悪く香りが少ないだけでなく、果肉褐変などの障害も起きるようです。また、収穫後の温度管理も重要で、はじめの10日間前後は約4℃の冷蔵で、その後約20℃で追熟させます。追熟時の温度が30℃を超えてしまうと追熟は行われず、障害を起こして果皮も色づかず、肉質もザラザラで、独特の芳香も発しなくなるそうなので注意が必要です。
買ってきた時にまだ固い場合は乾燥しすぎないよう紙袋などに入れて15~20度前後の室内に置いておき追熟させます。沢山ある場合は、食べる分だけ室内に置き、残りは更に温度が低い場所に置いておきましょう。
洋ナシの食べ頃サインの見分け方と追熟後の保存方法
品種にもよりますが、軸近くの肩の部分を軽く押してみてわらかさを感じれば食べ頃です。また、ラフランスやルレクチェは食べ頃になると芳醇な香りを発し始めます。
十分追熟し食べ頃になった物はビニールなどの袋に入れ冷蔵庫に入れ、早めに食べるようにしますよう。冷蔵庫での長期保存には向いていません。
美味しい食べ方[2]
皮の剥き方
リンゴは軸に対して直角にリンゴを回しながら細く長く皮を剥いていきますよね。でも洋ナシの皮を剥く時は、形が丸くなく、また凸凹していたりするので、まず串切りにしてから芯を取り除き、そして面取りをするように皮を剥きます。
切ってから時間が経つと変色します
洋ナシは切り口が時間と共に茶色く変色してきます。レモン汁や塩水で少しは抑えられますが、切った後は早めに食べましょう。
そのままデザートに
洋ナシを使ったデザートは数多くありますね。皮を剥いてそのまま皿やグラスに盛り付けても素敵なデザートになります。生のままフルーツタルトのトッピングに使っても美味しいです。スライスして皿に並べ、グラニュー糖を振りかけてバーナーで表面をキャラメリゼした物を冷やして食べると凄く美味しいですよ。
ピューレにして
洋ナシの果肉をミキサーにかけピューレにしたもので、洋ナシのムースやシャーベットが作れます。洋ナシはキャラメルとの相性が良く、ムースでも「洋ナシとキャラメル」の組み合わせは鉄板です。
コンポート
洋ナシが沢山ある場合はコンポートにしても良いでしょう。コンポートはシロップだけで煮る場合とワインを使う場合がありますが、洋ナシの場合は白ワインでも赤ワインでも美味しい物が作れます。ポイントは、ワインの量とシロップの量を同割位で煮る事です。シナモンスティックやバニラビーンズも加えたいですね。
洋ナシのタルト
洋梨を使った焼き菓子で、タルト生地にアーモンドクリームを敷き詰め、その上にスライスした洋ナシをのせオーブンで焼き上げた洋ナシのタルトは定番となっていますね。
料理にも使います
洋ナシはフランス料理では生ハムと組み合わせたり、クリームチーズと合わせたりして前菜に使ったり、サラダにして使います。また、鴨のローストにリンゴなどと共に添える事も多いです。鴨肉に、洋ナシのほんのりと酸味を伴った濃厚な甘味と芳醇な香りがとてもよく合います。
参考資料
- 山形のラ・フランス情報! | 山形県 https://www.pref.yamagata.jp/140032/sangyo/nourinsuisangyou/nogyo/nousambutsu/lafrance/lafrance2013.html
脚注
- ↑ 西洋梨(洋なし)の旬や選び方と保存方法:旬の果物百科 https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/younashi2.htm
- ↑ 洋梨(洋ナシ)の美味しい食べ方:旬の果物百科 https://foodslink.jp/syokuzaihyakka/syun/fruit/younashi3.htm