酒の席でのおしるこ
おしるこの起源は「すすり団子」という料理で塩味だった[1]
いきなり答えを語ってしまいますが、おしるこの起源は江戸時代に誕生した「すすり団子」という料理であることが文献に残されております。
すすり団子は、もち米とうるち米を混ぜ合わせて作った餅で、小豆を粉にした汁で煮て塩味をつけたものに、当時は貴重で高級品であった「白砂糖」をふりかけた団子汁だったそうです。
当時、すすり団子は甘味として食べたのではなく、お酒を楽しむ際の肴(さかな)だったようです。
塩味でしょっぱかったのがおしるこの起源なのです。
(出典:「古典料理の研究(八):寛永十三年「料理物語」について」著: 松下幸子 他多数 )
江戸時代のお酒に飲まれない知恵[2]
お酒に飲まれないための知恵も、昔の日本人は心得ていました。祝儀の席に呼ばれたときなど、お酒に強くない武士は袂に懐中汁粉を忍ばせて出掛けました。懐中汁粉は、小さな最中を思い浮かべればいいでしょう。袂から取り出し、湯飲み茶碗に入れ、お湯を注げば即席のお汁粉の出来上がり。これを、酒宴の前に飲んでおくと、血糖値が上がり、肝機能が高まるのです。
今でも飲み過ぎて病院に行けば、ブドウ糖や果糖の注射を打たれますが、江戸の人たちは甘味を体に入れておけば悪酔いが防げるということを、体験的に知っていたわけです。
さらに、二日酔いのときは、体内に残っているアルコールを抜くための技がありました。それが長唄を唄わせることです。長唄の中には深呼吸をして、体内に酸素をいっぱい取り込んで、少しずつ息を吐きながら唄う曲目がありますが、それを正座してゆっくりと唄い、これを繰り返していると、体の中にたまっていたアルコールとか宿酔い成分を排出できるというわけです。
参考資料
- 「古典料理の研究(八):寛永十三年「料理物語」について」著: 松下幸子 他多数
- 小泉センセイのCDブック『民族と食の文化 食べるということ』価格:6,000円(税抜き)
脚注
- ↑ おしるこに隠されていた驚愕な真実とは? | 有楽町.today http://yurakucho.today/sweets/p9700/
- ↑ 酒は礼に始まり、心で了(おわ)る【小泉武夫・食べるということ(27)】 | 丸ごと小泉武夫 食マガジン https://koizumipress.com/archives/12494